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毎日新聞/大阪版 と 毎日新聞/神戸版

「地域ニュース-異郷の人間味(ひとみ)」

LIVING IN A DIVERSIFIED CULTURE

Working together with the Japanese as a long term non - Japanese resident

The needs for an Education system that nurtures multi - culturalism -

(Japanese only)

地域ニュース 異郷の人間味-在日と共同作業する環境へ

 「双方向文化を理解できる教育を」

両親はインド人、出生地は日本、国籍は米国。神戸市中央区にある株式会社「ジュピターインターナショナル」の専務取締役、キラン・S・セティさん(39)はまさに自他共に認める国際派である。では、あなたのアイデンティティーは?と尋ねると、「文化的にはインドだけど、国籍は米国だし、インド系アメリカ人でいいんじゃないですか」と屈託なく笑う。

 インドで自動車部品の製造業を営んでいた父が来日して会社を設立したのは1959年のことだった。6年後に生まれたキランさんは神戸の国際学校を卒業した後、渡米し、ピッツバーグ大学経済学修士を取得した。

 会社の転機となったのは70年の大阪万博。インド産特産物の輸入業を始めたところ、ミス・インディアや蛇使いを招いた販促戦術も成功して一挙に全国のデパートに営業ネットワークが拡大した。

 が、90年に米国帰りのキランさんが会社に入ったころには、日本経済は内需拡大に方向転換し、輸出業の状況が厳しくなっていた。「当時は円高で、内外価格差が目立った時期でした。そこで社会に役立つ安くて良い商品群を輸入することにし、問屋を通さずに大手小売店に卸したんです」

 ちょうどこのころ、「運良く吉本興業と知り合った」のがきっかけで、テレビ番組「4時ですよーだ」や「11PM」などへの出演が相次いだ。得意先に行くと「テレビ見たよ」とよく声をかけられ、随分仕事にもプラスになったとか。現在は、ブランド物アパレル・雑貨などの輸入業、自動車・単車部品の輸出業、不動産管理業をメーンに業績を伸ばしている。

 彼は常々「日本で生まれ、インドのバックグラウンドを持ち、米国籍という立場を生かし、神戸の人々のクオリティー・オブ・ライフに役立つ橋渡しをしたい」という理念を抱いてきた。そうした人柄に人気が集まり、03年度の神戸青年会議所理事長に推挙された。外国人としては2人目のことだった。

 活動は国内だけでなく、米国やアジア各国まで飛び回るほど多忙を極めたが、「自分の修練になったし、たくさんの友人や人脈ができたし、素晴らしい経験をさせていただきました」と語る。

 なかでも特筆のものはタウンミーティングだ。小泉純一郎首相が国民との対話促進を旗印にスタートさせたこの企画の一環として、03年に神戸でシンポジウムが開催された。彼は、初代構造改革特区担当大臣鴻池祥肇氏と共に出演したのが縁で、翌年には100回記念タウンミーティングのスピーカーの一人として小泉首相と直接面談するに至った。対話の内容は規制緩和、観光、経済全般など多岐にわたった。

 「日本の国際競争力を高めるためには、英語はもちろん、他の外国語も学び、若い人たちがバイリンガルだけでなく、本当の意味でのバイカルチャル(双方向文化)を理解できるような教育システムを整えることを提案しました」

 彼自身も子ども3人を国際学校に通わせているだけに、教育問題にはとりわけ関心を寄せる。外国人学校・国際学校はいまだに各種学校の資格しか認められず、文科省教育助成金も受けられない。

日本は外国からの投資や労働勧告を受け入れようとしているが、子どもの教育問題が改善されなければ誰も来ない、せめて私立学校レベルの援助をすべきだ、と指摘する。

 「外国人として不利なことを感じたことがない」という彼は、神戸日米協会会長、インド商工会議所会員などの肩書きを持ちながら、「在日とか日本人とか言わず、お互いの良さと考え方の違いを把握しながら、一緒に仕事をしていく環境をつくっていこう」と呼びかけている。

 彼の言う通り、在日外国人と日本人が共に手を携えて共同作業をする環境が早く日本全国に広がることを望みたいものである。

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